KNXnet/IP (照明 / 日射遮蔽 / ルームコントロール)
KNX は欧州系ビル / 住宅オートメーションの標準 (ISO/IEC 14543-3) であり、照明・日射遮蔽 (ブラインド)・HVAC・入退室管理 で最も一般的なプロトコルの一つです。もともとはツイストペア (KNX TP) が基本ですが、ゲートウェイを経由してイーサネットに公開した KNXnet/IP が PlantPulse で直接扱える形態です。
このゲートウェイは KNXnet/IP Tunneling モードで通信します。
KNX は分散型の「デバイスネットワーク」です。ETS (KNX Engineering Tool Software) であらかじめ グループアドレス (Group Address) と DPT (Datapoint Type) をマッピングしたプロジェクトファイルが現場にないと、意味のある値を読み取れません。施工会社 / KNX 統合パートナーから ETS プロジェクト (*.knxproj) またはグループアドレス一覧を入手しておいてください。
登録フォームの入力値
| 入力欄 | 記入内容 | 例 |
|---|---|---|
| IP アドレス | KNX/IP ルータ・インターフェースの IP | 192.168.20.30 |
| ポート | KNXnet/IP ポート | 3671 (標準) |
| Connection Type | tunneling / routing | tunneling (既定) |
代表的な H/W: Siemens N146、ABB IPR/S、Gira X1、MDT IP インターフェース、Weinzierl KNX IP BAOS など。
グループアドレス (Group Address)
KNX はデバイスごとに直接アドレスを持たず、グループアドレス を介してメッセージを送受信します。表記方式は次の 3 種類がいずれも同じアドレスを指すことがあります。
| 表記 (3-level) | 表記 (2-level) | raw | 意味 |
|---|---|---|---|
1/2/10 | 1/522 | 2570 | メイン 1、ミドル 2、サブ 10 |
0/0/1 | 0/1 | 1 | 最初のグループ |
PlantPulse の PLC アドレス欄には 3-level 表記 (1/2/10) を推奨します。ETS プロジェクトの表記そのままです。
よく見かけるグループアドレスのパターン
| 表記 | 一般的な意味 |
|---|---|
1/0/x | 照明 ON/OFF |
1/2/x | 照明の調光値 (%) |
2/0/x | 日射遮蔽 (ブラインド) UP/DOWN |
3/0/x | 室温測定 |
3/2/x | 設定温度 (Setpoint) |
上記のパターンはあくまで慣習 — 実際のマッピングはサイトごとに ETS プロジェクトが決定します。
DPT (Datapoint Type) が要
KNX の raw メッセージは単なるバイト列なので、DPT が分からないと解釈できません。よく使う DPT は次の通りです。
| DPT | 意味 | データ形式 | 形式補助 |
|---|---|---|---|
| DPT 1.001 Switch | ON/OFF | Boolean | (空欄) |
| DPT 1.008 Up/Down | 0=Up, 1=Down | Boolean | (空欄) |
| DPT 5.001 Scaling | 0~100 % (1 byte) | Integer | B |
| DPT 5.010 Counter | 0~255 | Integer | B |
| DPT 9.001 Temperature | 2-byte float (°C) | Float | REAL |
| DPT 9.002 Temp Difference | 2-byte float (K) | Float | REAL |
| DPT 9.004 Lux | 2-byte float (lx) | Float | REAL |
| DPT 14.x | 4-byte float | Float | REAL |
| DPT 16.x | 14-byte string | String | STR[14] |
PlantPulse の [データ形式] / [形式補助] 列を上表どおりに設定すれば、後処理段階で自動変換されます。
登録フローの概要
- ETS プロジェクトで読み取りたいグループアドレス (例:
3/0/12= 会議室温度) と DPT (9.001) を確認 - PlantPulse に PLC アドレス =
3/0/12、データ形式 = Float、形式補助 =REALでタグを登録 - ポーリング周期を短くしすぎないこと — KNX TP のバス帯域が狭く輻輳しやすいためです (通常 5 秒以上 を推奨)
よくある問題と対処
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 「No tunneling slot available」 | KNX/IP インターフェースの同時トンネル数を超過 | 他の ETS / Visu クライアントを終了。IP ルータへアップグレード |
| 常に 0 または NaN | DPT が誤っている | ETS プロジェクト / 施工会社のグループアドレス一覧を再確認 |
| 値が 100 倍・256 倍ずれる | 1-byte と 2-byte DPT の混同 | DPT 5 (1 byte 0~255) ↔ DPT 9 (2 byte float) を区別 |
| 一部のグループのみ無応答 | KNX の Read 属性が無効 | ETS で該当グループオブジェクトの 「Read」flag を有効化 |
| ポーリングすると他のデバイスが遅くなる | KNX TP 9600 bps の限界 | ポーリング周期を延長。Read ではなく イベント (GroupValue_Write) キャプチャ 方式を検討 |
照明・日射遮蔽のグループアドレスに誤って書き込むと、実際の負荷が動作します (照明が点灯したりブラインドが下降します)。稼働中のサイトでは 読み取りのみ で登録することを推奨します。
次のステップ
- 高度な設定 — REST API の KNX 例
- ETS プロジェクトファイル (
*.knxproj) がある場合は、統合パートナーからグループアドレス / DPT 一覧を CSV で受け取り、CSV 一括アップロード を使うのが早道です。